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でめりんのおぼえがき

ゲームと育児の話中心に色々目に留まったことなど。長文病です。 たまにお絵描きも

北野武「新しい道徳」読了

読みました。ビートたけしの本です。今のベストセラーだそうですね。

新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか

新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか
北野 武

幻冬舎 2015-09-10
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非常に読みやすく面白い文章で、一言でいえば痛快。
私なりのあらすじ説明ですが

学校での道徳の授業を教える側も教わる側も鵜呑みにしていていいのだろうか。
道徳観念なんてのは、時代と時の指導者が変われば都合よく変わるもの。
あくまで道徳は、その時々の社会との折り合い方を教えるものであって
自分の中におのずと芽生える良心とは別物である。
気持ちが良いから良い事をする、という理屈で教えてしまうと
気持ちが良いから悪い事をしたい、という性格の人間を説き伏せることができない。

自分の中に良心を芽生えさせ、ちゃんと自分の頭で考える人間に育てるなら、
この世の仕組みの真実を隠さず説明し体験させ、実感してもらうのが一番。
性教育には出産シーンを見せること、食育には実際の生き物が肉になっていく過程を見せること。

…いささか乱暴な説明になってしまいましたが、大体はこんな感じの内容でした。
もちろん実際の文章はたいへん面白いです。
くだけた文章で笑いもあるので、活字苦手な人でもいけるかも。

きっと大概の人は興味を惹かれるであろう身近な話だし、
考えた事のある話だと思うので
最後まで読むのは苦痛ではないと思います。
もちろんタイトルみたいに本当にたけし流の新しい道徳を押し付けるものでもありませんし。


ですが、んーーー、これはちゃんとした感想を書くのが難しいですね。
どうしてかと言うと、これを一通り読んで、あくまで私はですが
新しい「気づき」、つまり読書を通して得られた知識や見解が
私にとってはあんまり無かったからなんです。
他の方はどうなんでしょう。
さっき「身近な話、考えた事のある話」と書きましたが、もしかして
道徳について小学校で習った事があっても
深く考え込むまでした人はそんなにいないのかな。
八百万の神がいるから特定の神様がいなくてもヘーキとかそういう感じの事。

私が興味深くこれを読んで惹きこまれるのは、自分自身でもこれまでにしょっちゅう
自分なりに考えてきたテーマであるという事でもあって
共感、同意する部分が多いから引っかからずに読めるし、大変痛快、気持ちよく進められて。
でもそれって、自分の元々の考え方を変えさせられる部分も何一つないわけだから
読んでも読まなくても同じだったのでは…?って事でもあるのかも。

なんていうか、改めて明文化されることで「そうそう、そうなんだよ」と
いったん考えがまとまった(気がする)とこで満足する感じ。
それだけでも有意義な時間ではあるんでしょうけどね。


ただ、「そうそう、そうなんだよ」とか「自分もそう考えていたんですよ~」みたいな事は
できればあまり口にしたくはなかったですね。悔しいw

その昔、初期のゴー宣(その頃は本当に面白かったと思っている)を集めていた時
人に貸したらその人も衝撃を受けたようで気に入ってくれて、それは結構なんですけど
その時に言われた言葉が
そうそう、オレのやりたかった事はこれだよ!
くそっ、小林(←呼び捨て)悔しいけどやりやがる。先越されちまった!

やりたかった事というのは、このように忌憚の無い考えを漫画に描いて出版する事を指しますが
これ聞いて、この人大成はしない部類の人だろうなあとぼんやり考えてしまったのです。
実際それから即座に特別な事をしたわけでもないし、今も名前は聞きません。
後追いでもいいから何か描いてくれた方がまだよかったな。

他人が先に何かを世に出してから後出しで「自分もやろうと思ってた」と言うのは簡単ですが、
先に形になったのを見たからこそ初めてイメージが具現化できたんであって
いつまでもあの漫画やこの本が世に出ていなくても、自分で出さなかったことには
変わりはなかったんだろうなと思います。
あのことを思い出すから、私もあんまり形になった物を見てから後出しで
自分もそう思ってたとか構想があったとか、そういう事は言いたくないんですよね。
どうせ黙ってても実行しなかった癖に後出し負け惜しみなんて最高にカッコ悪いやんけ…!
形にした人が一番偉いんだよ!
いやもちろん本に書く予定は元々なかったですけども。

こんな話を思い出してしまうくらい、「新しい道徳」では何から何まで、
あとでブログで、行間不足分は自分の補完という名の後乗りで書こうと思ってたことまで
後の方に書いてあって。

二次創作で例えれば、
もう原作が全部描いちゃってるから同人で妄想する余地がねえ…!って状態

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ただ違う点として、たけし本人もまた、この本の中で、分析しつつも自分自身が母親に押し付けられてきた
マナーという名の母個人の考えを自分の中で常識化しちゃってる部分があるなと思いました。
老人になってもその呪縛から逃れられてないところが教育の恐ろしさでもあるんでしょうね。
まさに三つ子の魂百まで

その母親の言うことには、行列で並ぶのも、食事をしてまずいはともかく美味いと言うのも
みっともないとか失礼だからやめろって。

いくら母親は本気の心で俺にみっともなさを訴えてきて心に響いたとか
なぜみっともないかを理屈で書きつらねたつもりでも、
それはよその、直接育てられてない人にはあんまり響かない…。
個人的には
行列に関して並ばない理由も「流行に乗ってる浅はかな人間だと思われたら嫌だな」程度だし
どうしても時間犠牲にしてでも食べたいものは並びますしね。某遊園地もね。
食事の感想に関しても「作った人の努力を考えたら美味しいときは美味しいと褒めた方が良い。
まずい日があるかもしれないから美味しいと言わない、なんて方が失礼
という見方もあると思いますし。

あまりに言うことなさすぎるのもアレなんでひとつ難癖つけてしまいましたけど、
とても面白かったです!

と最後は小学生並みの感想になってしまいました。

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